2025年12月23日、政府は在留資格「特定技能」と、2027年4月から始まる新制度「育成就労」について、2028年度までの受入れ上限を合計約123万人とする運用方針を示しました。
このニュースはヤフーニュースでも大きく報じられ、「外国人労働者が一気に増えるのでは」と感じた方も多いかもしれません。
しかし、実務の現場で外国人雇用に関わっている立場から見ると、この数字はやや冷静に受け止める必要があると感じています。
「上限123万人」は“目標人数”ではない
今回示された123万人という数字は、あくまで制度上の上限です。 政府関係者も「外国人労働者が急増することは想定していない」と説明しています。
実際、2025年6月末時点での特定技能1号の在留者数は約33万人、特定技能2号は約3,000人にとどまっています。
つまり、現状と上限との間には大きなギャップがあるのが実態です。
技能実習から「育成就労」へ──制度はどう変わるのか
2027年4月には、長年続いてきた技能実習制度が廃止され、新たに「育成就労」が始まります。
育成就労は、未熟練の外国人材を受け入れ、原則3年間で即戦力レベルまで育成する制度です。 技能や日本語能力の要件を満たせば、特定技能1号へ移行する道も用意されています。
制度としては整理されますが、受入企業側の負担や責任が軽くなるわけではありません。 むしろ、これまで以上に「育成」「定着」「説明責任」が問われる制度だといえます。
分野が増えても上限が減った理由
特定技能1号は、対象分野が16分野から19分野に増えたにもかかわらず、上限人数は従来より下方修正されました。
その背景には、ITやロボット導入などによる生産性向上を織り込んだ試算があります。
つまり政府としては、「外国人労働者を増やす」よりも、人手不足をどう補うかを多面的に考えているということです。
実務の現場で感じること
私自身、特定技能(特に介護分野)の案件に関わる中で感じるのは、制度よりも「運用」が難しいという点です。
- 受入企業が制度を正しく理解していない
- 本人への説明が十分でない
- 支援体制が形式的になっている
こうした点が積み重なると、せっかく来日した外国人材が定着せず、結果的に企業側も困ることになります。
数字より大切なのは「どう受け入れるか」
123万人という数字だけを見るとインパクトはありますが、本当に重要なのは一人ひとりをどう受け入れ、どう育て、どう支えるかです。
外国人雇用は「人手不足対策」ではありますが、それだけではありません。 長期的な人材戦略として向き合えるかどうかが、これからの企業には問われていくでしょう。
制度は変わります。 だからこそ、正しい情報と実務に基づいた判断が、これまで以上に重要になってきます。

